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社説

憲法改正の議論 「安倍流」の見直しが先だ

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 日本国憲法が公布されてから、きのうで74年となった。

 菅義偉首相の憲法観は見えない。ただ、憲法改正を目指した安倍晋三前政権の継承を掲げている。国会では「憲法審査会で憲法改正の議論を重ね、国民の理解を深めていくことが国会議員の責任ではないか」と語り、議論が活発化することへの期待感を示した。

 しかし、前政権のやり方を踏襲するばかりでは、憲法の議論を深めることは難しいのではないか。

 国の最高法規である憲法の改正は、一般の法改正とは異なる。最終的な判断は国民投票に委ねられている。これを意識し、安倍政権より前の憲法論議は与野党合意を重視して進められてきた。

 ところが、前首相は「改憲ありき」で、野党との対話や合意形成を軽視した。2016年の参院選の結果、「改憲勢力」が発議に必要な3分の2を超える議席を参院でも占めるようになってから、その姿勢は露骨になった。

 翌年の憲法記念日には、自民党内の議論も経ていない憲法9条改正案を唐突に打ち出した。戦力不保持を定めた2項を維持しつつ、自衛隊を明記する案だった。

 これを基に、自民党に改憲4項目をまとめさせた。昨年の参院選では、「憲法を議論する政党を選ぶのか、しない政党を選ぶのか」と野党を挑発した。野党が態度を硬化させたのは当然だ。

 前政権は、歴代政権が認めてこなかった集団的自衛権の行使を、閣議決定により憲法解釈を変更するという強引な手法で容認した。

 憲法を粗雑に扱い、敵と味方を峻別(しゅんべつ)する「安倍流」が、超党派で行うべき憲法論議の停滞を招いたといえる。

 菅首相は、日本学術会議の会員候補6人を任命しなかったことを正当化するため、公務員の選定は国民固有の権利と定めた憲法15条を持ち出した。

 だが、会員の選考や任命の方法は日本学術会議法に規定されている。一般的な理念を記した憲法の条文を個別ケースの論拠にするのは不自然だ。

 乱暴な進め方で憲法論議の土台を壊した前政権の轍(てつ)を踏んではならない。まずは、冷静な議論を重ねて幅広い合意を目指すという憲法論議の原点に立ち返るべきだ。

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