今も、毎日を生き抜いている 「世界の100人」選出の伊藤詩織さんに見えている景色

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インタビューに答えるジャーナリストの伊藤詩織さん=東京都千代田区で2020年10月23日、内藤絵美撮影
インタビューに答えるジャーナリストの伊藤詩織さん=東京都千代田区で2020年10月23日、内藤絵美撮影

 ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が、2020年9月、米国タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。伊藤さんは17年に元TBS記者から性暴力を受けたと公表して訴訟(※1)を起こし、誹謗(ひぼう)中傷による2次被害についても問題提起を続けている。伊藤さんの目に今、どんな景色が見えているのだろうか。インタビューを前編、後編に分けてお伝えする。【明珍美紀/編集編成局、塩田彩/統合デジタル取材センター】

「堂々と生きていていい」というエール

 10月下旬、小雨がぱらつく肌寒い日の午後、伊藤さんは東京都内の取材場所に赤いニットと白いジーンズ姿で現れた。「歯磨き粉つけちゃって。大丈夫ですかね」と、笑いながらズボンの染みを写真記者に見せる。その表情は、これまでの記者会見での張り詰めた雰囲気と異なり、柔らかだ。

 ――9月22日、アメリカのタイム誌の「2020年 世界で最も影響力のある100人」に選ばれました。一報はどのように入ってきたのでしょうか。

 ◆1週間ほど前に、タイム誌の担当者からEメールで連絡を頂きました。ただ、文面が非常にシンプルだったので、その時は半信半疑でした。今年はコロナ禍で、米国ABCテレビの生放送で選出を発表すると聞き、友人たちと見守ることにしました。選出が始まると出てくるのが有名な方たちばかりで、もし私が出てこなかったらごめんなさいって言っていたんです(笑い)。だから、画面に自分の顔が映って名前が呼ばれたときは、驚きました。

 ――ご自身が選ばれた理由をどのように考えていますか。

 ◆去年の12月に東京地裁で勝訴した時、日本の一つの民事訴訟だったにもかかわらず、海外の友人から「詩織がテレビに出ていたよ」と連絡が来ました。各国のメディアがこの訴訟を報道していたことを知り、性暴力を受けた体験を話すことがどれだけ大変かが、世界的に共感されることなのだと感じました。

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