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「父は日本軍に利用された」。名古屋市千種区に住む亀川笑子さん(91)は、記者の目を真っすぐに見ながら言った。父とは戦前の外交官、蔵本英明氏。南京総領事館で副領事代理だった1934年、突然姿を消し、5日後に洞窟で発見された“失踪事件”の当事者だ。戦後75年を経て、娘が語ったこととは――。【川瀬慎一朗】
中国語が堪能だった蔵本氏は満州(現中国東北部)に赴任。亀川さんはハルビンの領事館官舎で生まれた。事件当時は5歳。「失踪を知った母は寝室でずっと泣いていた」と振り返る。
当時、日本の新聞は中国側による拉致説を展開。中国憲兵隊が日本人を尾行、電話を盗聴していたとして、蔵本氏が中国側に抗議していたと解説した。「テロの犠牲になったものらしく、生存は保証されない」と伝えた。
日本陸軍は南京国民政府に抗議。総領事館が軍艦出動を要請するなど、軍事衝突の危険もあったとされる。失踪後、発見された蔵本氏について、亀川さんは「両腕を抱えられていないと歩けないほど衰弱していた。…
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