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お笑い、大衆芸能、放送などエンタメ全般を取材してきた、油井雅和記者が「舞台裏」をつづります。

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多才な喜劇人と戦後東京芸能の裏面史 小林のり一さん「何はなくとも三木のり平」

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「何はなくとも三木のり平」(青土社)
「何はなくとも三木のり平」(青土社)

 「歌舞伎には屋号ってのがありまして、團十郎は成田屋、菊五郎は音羽屋、幸四郎は高麗(こうらい)屋、三木のり平、桃屋」。こんな落語のまくらも最近はあまり聞かなくなった。でも、それぐらい、のり平さんと言えば桃屋だった。

 俳優、コメディアン、そして演出家……。戦後の東京喜劇を支えたのり平さん(1924~99年)の一代記「何はなくとも三木のり平」(青土社・2860円)は400ページを超える、手に持つとずっしりくる新刊。なにしろ参考文献の紹介だけで6ページもある。その知られざる多才ぶりを残すには、これでも足りないぐらい。引用した文献を書かず自分がさも書いたような文が最近目立つけれど、この本は引用も写真もたっぷりで、ありがたい。

 私などは、舞台よりもドラマやCMでの、あのメガネをずらしたのり平さんの姿を見ていた世代。本のタイトル「何はなくとも」も、今はもうわからない世代も増えたので説明すると、長年CMを担当した桃屋のノリのつくだ煮「江戸むらさき」のキャッチフレーズが「何はなくとも江戸むらさき」。

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 著者の小林のり一さんは、…

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