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河井夫妻選挙違反事件 法廷で明かされた「仁義なき戦い」の内幕

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河井案里議員
河井案里議員

 衆院議員の河井克行被告(57)と妻で参院議員の案里被告(47)の夫妻が起訴された2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件は、その内幕が公判で明らかになりつつある。出廷した地方議員らの証言からは、自民党本部から巨額の選挙資金を得た案里議員陣営が、同党のベテラン議員を引きずり下ろそうと「仁義なき戦い」を仕掛けたともいえる生々しい構図が浮かんできた。ネットでのイメージ工作さえも仕組まれた舞台裏とは。

1億5000万円「悪目立ちさせるな」

 9月9日、東京地裁で開かれた河井夫妻の第7回公判。参院選前に自民党本部から夫妻側に振り込まれた巨額資金を巡る証言が飛び出した。

 参院選の公示前、夫妻が支部長を務める自民党支部の口座には、党本部から計1億5000万円が振り込まれた。野党は「買収資金になったのでは」と批判し、この資金の扱いが注目されていた。

 証言台に立ったのは案里議員陣営の会計担当者だった女性。陣営内では、1億5000万円を「悪目立ちさせない」ように処理する方策が話し合われていたという。女性は、克行議員の元政策秘書から「代議士(克行議員)が気にしている」と言われたとし、全てを選挙資金とするのではなく、政治資金としても分散して計上するよう指示されたと明かした。

 広島選挙区は改選数2。6年前の13年参院選では、自民現職の溝手顕正・元防災担当相が約52万2000票を獲得し、約19万4000票で2位当選だった旧民主新人の森本真治氏に大差をつけて圧勝した。ここに自民新人として割って入ったのが案里議員だ。溝手氏を推す自民党広島県連の頭越しに、党本部が2議席独占を図って擁立した。

 案里議員は03年の広島県議選で初当選し、政治家としての歩みを始めた。09年には「改革」を掲げて知事選に立候補したが落選。11年に県議に返り咲き、計4期務めた。一方の溝手氏は広島県三原市長を経て、1993年の参院補選で初当選。自民の参院議員会長も務めた重鎮だ。

 19年参院選で6選を目指す溝手氏に対し、案里議員はキャリアでは圧倒的に不利だった。それでも激戦を演じたのは、党本部による案里議員への露骨な肩入れがあったからだとされる。

 安倍晋三首相(当時)と距離があるとされた溝手氏に対し、克行議員は07年に第1次安倍政権で副法相、第2次安倍政権でも15年に首相補佐官を務め、菅義偉官房長官(現首相)の側近といわれた。菅氏は公示前から現地入りし、選挙期間中には好物のパンケーキを案里議員と一緒に食べて蜜月ぶりを見せつけた。党本部からの1億5000万円は、溝手陣営の10倍に上る巨額だ。

「溝手ではなく、案里を当選させろ」

 広島選挙区で自民が2人を擁立したのは98年以来。当時も支持層が分裂し、長くしこりが残ったとされる。こうした経緯か…

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