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社説

トランプ氏の法廷闘争 引き延ばしなら身勝手だ

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 大接戦の米大統領選で、共和党のトランプ大統領の陣営が開票作業の差し止めを求めて提訴した。

 激戦州の中西部ミシガン州で、集計作業を開票所で監視する人の数が制限され、透明性を欠いていると主張している。民主党のバイデン前副大統領と激戦を繰り広げているほかの2州でも同様の訴訟を起こした。

 トランプ氏はこれらのうち1州でも敗北が確定すれば、勝利が危うくなる。劣勢を覆そうと法的手段に打って出たのだろう。

 これとは別に、バイデン氏が勝利を確実にした中西部ウィスコンシン州で票の数え直しを求める考えだ。同州では最終集計の結果、得票率が1ポイント差以内なら再集計を申請できる。

 選挙をめぐる訴訟はめずらしいことではない。しかし、正当な理由と明確な根拠があってこそ行使できる権利だ。そうでなければ権利の乱用に過ぎない。

 この間のトランプ氏の言動は常軌を逸している。提訴について「(郵便投票の集計の結果)自分の票が魔法のように消えていった」とツイッターに書き込んだ。

 バイデン陣営に対して「選挙を盗もうとしている」と言いがかりをつけ、公式集計を根拠も示さず「詐欺」と称してはばからない。

 劣勢なのは不正があるからだといわんばかりだ。公正な選挙を守るべき大統領がそれを妨害すれば、選挙制度の根幹は崩れる。

 東部ペンシルベニア州のウルフ知事が「民主的プロセスを台無しにしようとする恥ずべき行為だ」と非難したのは、当然だろう。

 トランプ陣営は連邦最高裁での裁判に備えた訴訟団を作ったという。訴訟合戦に持ち込み、勝敗を確定させず、選挙戦を引き延ばそうという戦略なのかもしれない。そうであれば身勝手に過ぎる。

 これでは混乱に拍車がかかるばかりだ。「集計中止を」と呼び掛けるトランプ氏の支持者が開票所に詰めかけ、騒然となった。

 一部の州は投票日の消印がある郵便投票を受け付け、いまも集計を続けている。混乱が広がれば作業に支障が生じるおそれがある。

 トランプ氏の手法には与党の共和党からも批判が出ている。民主主義の基盤である選挙のプロセスをねじ曲げるのは許されない。

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