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社説

苦境の航空会社 需要の長期低迷に備えを

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 新型コロナウイルスの感染拡大で人の移動が減り、航空会社はかつてない苦境に陥っている。

 ANAホールディングスは2021年3月期に過去最悪となる5100億円の最終赤字を見込む。日本航空(JAL)の赤字も2700億円に上る可能性がある。

 業界団体は国際線の需要回復まで4年程度かかると見ている。テレワークの普及で出張が減れば、ビジネス客もコロナ前の水準まで戻らない恐れがある。長期低迷に備え、経営構造の見直しを着実に進めるべきだ。

 航空会社は人件費など固定費の割合が高く、各社とも経費の削減を進めている。ANAは社員を他社へ出向させたり、全日本空輸の社員の年収を3割削減したりして、解雇を回避するという。

 ANAとJALいずれも格安航空子会社を設立し、新たな顧客の取り込みを図る。ただ、需要の急減に弱い体質に変わりはない。

 改善するには、航空以外の事業を開拓し、リスクを分散する努力が必要だ。マイレージ会員の購買歴など顧客データを活用したビジネスを始める動きもある。

 各社とも、危機を乗り切ろうと負債を増やしており、財務の悪化は免れない。資金繰りが苦しくなって新規投資を手控えれば、競争力を失って収益の回復がさらに遅れる。

 将来的には、赤字路線の縮小も検討されるという。だが、政府が着陸料の引き下げや法人税などの支払い猶予、低利融資といった支援策を講じているのは、航空ネットワークを維持するためだ。路線の見直しは地域への影響が大きく、慎重な対応が求められる。

 経営が一段と悪化すれば、公的資金を活用した資本増強も選択肢の一つとなるだろう。ドイツでは、ルフトハンザが政府の出資を受け入れ、経営破綻を回避した。

 今のところ、ANAとJALは慎重な立場だ。官主導の業界再編に巻き込まれたり、不採算路線の維持を強いられたりすることへの懸念があるからだ。

 生活を支える交通インフラの維持と収益性のバランスをどう保つかは、難しい課題だ。航空会社は、利用者にどのような価値を提供できるのかという視点で生き残り策を検討すべきである。

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