「痛みに共感欠く」投稿が火に油 山梨が県を挙げて河野氏の押印廃止に反発する理由

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自民党の二階俊博幹事長との面会後、窮状を訴える山梨県の長崎幸太郎知事(左)と久保真一・市川三郷町長=東京都千代田区永田町の自民党本部で2020年11月6日、松倉佑輔撮影
自民党の二階俊博幹事長との面会後、窮状を訴える山梨県の長崎幸太郎知事(左)と久保真一・市川三郷町長=東京都千代田区永田町の自民党本部で2020年11月6日、松倉佑輔撮影

 デジタル化を旗印に、政府が急速に進めている行政手続きの押印廃止。前のめりになる河野太郎・行政改革担当相の言動に、はんこ産地である山梨県の長崎幸太郎知事は怒りを隠さない。6日には事業者とともに自民党本部を訪れ、河野氏の行動を「蛮行」とする文書を二階俊博幹事長に手渡した。ここまで強く反発するに至ったのはなぜなのか。

 「我々は零細も多い。不安な気持ちで毎日過ごしているところに、傷口に塩を塗り込むような発言は本当の蛮行だと思う」。6日夕、二階幹事長との面会を終えた全日本印章業協会の徳井孝生会長は強い口調で訴えた。面会に同席した長崎知事や、はんこ事業者が多い同県市川三郷町の久保真一町長も同調した。

 騒動の発端は、改革で痛みを強いられる人たちへの配慮を欠いた河野氏の投稿だ。河野氏は10月29日、ツイッターに「平井(卓也デジタル改革担当)大臣からのプレゼント」として「押印廃止」と書かれたはんこの写真を投稿した。これに長崎知事が「ただただ限りない『嫌悪感』。印章関係者の健気(けなげ)な想(おも)いや切実さに対する敬意はおろか想像力すら微塵(みじん)も感じられない」と自身のツイッターで反発。はんこの存在自体をやゆするかのような河野氏の投稿に怒りをあらわにした。河野氏はその後、投稿を削除した。

 長崎知事が反発する背景には、全国一のはんこ産地である地元事業者の憂慮がある。良質な水晶の産地として知られた山梨県では江戸時代に水晶印材や水牛の角などの加工技術が発展。印材メーカー、印面彫刻業者、販売業者等が相互に成長を遂げてきた。なかでも市川三郷町(旧六郷町)は「印鑑の里」として知…

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