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パソコンなどを使ったオンライン診療の対象を拡大する方針を、政府が打ち出した。デジタル化を推進する菅義偉首相の指示を受け、厚生労働省が具体策の検討を始めた。
自宅などに居る患者を映像を通じて医師が診察し、薬の処方などをする。
これまで、初診では原則認められず、主に2回目以降の診療が対象だった。保険が適用されるのは、生活習慣病など厚労省が定めた病気に限られてきた。
新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の受診をためらう患者が増えたため、現在は特例として、初診を含めさまざまな病気について認められている。感染が収束した後も、条件付きで適用の拡大を継続するという。
しかし、患者の健康や命に関わる問題だ。感染が収束した後にどこまで認めるかは、メリットとデメリットを見極めて決めなければならない。
オンライン診療では、医療機関に出向く手間が省ける。医療体制が手薄な過疎地の患者や、仕事が忙しい現役世代が診療を受けやすいと指摘されてきた。
一方で、患者を目の前にして触診や聴診などができる対面に比べ、オンラインは主に映像に頼った診察になる。情報量は限られ、医療従事者による検査もできない。医師側には、十分な診察ができず、適切な判断に支障が出るとの懸念がある。
診療科や病気の種類によって、オンラインに向くかどうかは分かれる。オンラインとする目的や、対象とする患者や病気について、慎重に検討する必要がある。
初診は病気を診断するため、オンラインでは特に難しい。認めている欧州の国でも、かかり付け医などに限っている場合がある。田村憲久厚労相も初診はかかり付け医に限定する方針を示している。
適用の拡大に伴って、診療の質を上げるためにマニュアルを作成することも必要になるだろう。患者側も、オンライン診療の特性を十分に理解した上で利用するようにしたい。
オンライン診療は患者にとって利便性はあるが、医療の安全や信頼性が損なわれることがない仕組みを考えるべきだ。