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熊本県、川辺川ダム容認方針固める 九州豪雨球磨川氾濫で 清流保護巡り反発も

川辺川ダムの元予定地。計画中止後に建設された宿泊施設が建ち並ぶ=熊本県五木村で2020年8月31日、平川昌範撮影

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 7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として、熊本県は2009年に旧民主党政権が計画を中止した川辺川ダムの建設を容認する方針を固めた。複数の関係者への取材で判明した。中止決定後、県は国や流域市町村と共にダムによらない治水を模索したが、実現しないまま今回の豪雨で甚大な被害を受け、方針転換が不可避と判断した。蒲島郁夫知事が11、12両日にある有識者や県議からの意見聴取などを踏まえて最終判断し、月内にも方針を表明する。

 蒲島知事は、大雨時以外は水をためず、川の水がそのまま流れる「流水型」での建設を念頭に置いている。流水型ダムは水をためる一般的なダムに比べ、水質への影響が小さいとされる。また、関係者によると、県はダムを建設した場合に影響を受ける流域自治体への財政措置などについての検討も始めた。

 川辺川ダム計画を巡っては、蒲島知事が08年、ダム建設予定地の相良(さがら)村や最大受益地の人吉市の当時の首長が反対していることなどを理由に「白紙撤回」を表明。翌年に旧民主党政権が中止を決めた後、国と県、流域市町村は遊水地や、川辺川の水を八代海に流す放水路などダムによらない治水対策を検討したが、数千億円単位の事業費や数十年にわたる工期などがネックになり抜本対策が決まらなかった。

 こうした経緯を踏まえ、7月の豪雨後、流域市町村の首長や、自民党が多数を占める県議会からダム建設を求める声が上がり、蒲島知事は「ダムも選択肢の一つ」と発言した。10月には国が「川辺川ダムがあれば人吉地区の浸水面積を約6割減らせた」とする推計を示し、ダム建設を求める動きが加速。ただ、国は「ダムがあっても氾濫自体は防げなかった」としており、県はダムに遊水地など複数の対策を組み合わせて流域全体で被害を防ぐ「流域治水」を目指す。

 一方、10月中旬~11月初旬にあった知事による住民への意見聴取では「ダムを造ると清流が守れない」といった意見も多く、今後、反対の声が高まる可能性がある。また、治水にかんがい用の利水や発電を組み合わせた多目的ダム計画自体は今も廃止されておらず、流水型への変更も含めダム建設の実現には曲折も予想される。【城島勇人、平川昌範】

川辺川ダム計画

  1963~65年に熊本県の球磨川で大規模洪水が相次いだことを受け、66年に最大の支流の川辺川に計画された国営の多目的ダム。村中心部の大部分が水没する同県五木村の住民らが長年反対運動を繰り広げてきたが、82年に受け入れに転じ予定地の買収と住民移転はほぼ完了。2009年に旧民主党政権が八ッ場(やんば)ダム(群馬県)とともに中止を決め、政権交代の象徴とされた。八ッ場ダムは11年に建設再開が決まり、今年3月完成している。

川辺川ダム(熊本県)建設計画を巡る主な動き

1963~65年   球磨川流域で水害が相次ぐ

1966年7月   旧建設省がダム計画を発表

2008年9月   蒲島郁夫知事が計画の白紙撤回を表明

2009年9月   旧民主党政権が計画中止を表明

2020年7月4日 九州豪雨で球磨川や支流が氾濫

2020年8月26日 知事が「ダムも選択肢の一つ」と発言

2020年10月6日 国が「川辺川ダムがあれば、人吉地区での浸水面積を約6割減らせた」とする推計を公表

2020年10月15日 知事が治水対策について流域の団体や住民から意見を聴取する会が始まる。11月3日までに21回開き、422人から聴取

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