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米国防長官解任 政権移行期の混乱深める

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 トランプ米大統領がエスパー国防長官を解任した。ツイッターで「クビにした」と明らかにした。

 今年春の人種差別抗議デモで、トランプ氏が米軍を投入して制圧すると示唆したのに対し、エスパー氏は反対を表明していた。

 両氏の対立はこれを機に深まっていたが、任期を約2カ月残す中での異例の解任劇だ。

 政権幹部は安全保障への影響を懸念して解任しないよう求めていた。これを聞き入れなかった。

 トランプ氏は自分に忠実な人物を重用する一方、異論を唱える高官を敵対視し、排除してきた。国防長官の退任は2人目だ。

 とりわけ問題なのは、大統領選直後に始まる政権移行期での解任だったことだ。

 大統領選は民主党のバイデン前副大統領の当選が確実になっている。連邦法に基づき勝者が確定すると新政権発足に必要な費用が拠出され、機密情報が共有される。円滑な政権移行を果たすためだ。

 しかし、トランプ氏は郵便投票などの「不正」を訴え、法廷闘争を繰り広げている。政府の担当局も移行手続きを認めていない。

 すでに発足したバイデン氏の政権移行チームは政府の協力を得られず、作業に支障が出始めているという。閣僚解任は、政権移行期の混乱を助長しかねない。

 トランプ氏の法廷闘争がいつまで続くかは見通せない。バー司法長官は選挙の不正捜査を開始するよう全米の検察官に促した。

 共和党の議会幹部もトランプ氏を支持し、ポンペオ国務長官は「政権2期目に円滑に移行する」と闘争継続を支援している。

 激戦州の当局は「不正」の明確な証拠はないとし、裁判所も主張を退けている。バー氏に抗議して辞任した司法省高官もいる。

 トランプ氏はレイ連邦捜査局(FBI)長官やハスペル中央情報局(CIA)長官の解任も検討していると報じられている。

 求心力を維持するために大統領の権限を誇示するなら、人事権の乱用と言わざるを得ない。

 バイデン氏はトランプ氏が敗北を認めないことを「恥ずかしいこと」と批判した。大統領は公益を何より重んじることが求められる。それにふさわしい振る舞いをトランプ氏はすべきだ。

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