若き福沢諭吉の新資料 長崎留学費に父の蔵書売却 慶応義塾と大分・中津市が共同調査

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福沢諭吉
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 慶応義塾の創設者で大分県中津市ゆかりの福沢諭吉が、19歳で蘭学を志して長崎に留学した際、費用捻出のため遠戚に父の蔵書を売却していたことが分かった。蔵書も発見され、中津市教委は「立身出世を志した諭吉の青年時代を物語る貴重な資料」としている。【宮本勝行】

「福沢家蔵」の印が一致

 見つかった書籍は、古代中国の荘子の思想を解説した漢籍「荘子因」で6巻あった。中津藩の国学者、渡辺重名の子孫が三重県内で保管していた漢籍3000点など数千点の中から見つかった。資料について昨年、同塾福沢研究センターに相談があり、中津市とも関係が深いことから共同で調査していた。

 同塾には、重名の孫で諭吉と同世代の重石(いかり)丸による未発表の草稿(コピー)があり、「福沢は長崎行きを思い立ち、家蔵の漢籍を売却した。私は書籍を購入し現存する」などと記されているため漢籍を調べて見つかった。6巻に押された「福沢家蔵」の印が、同塾などにある書物の印と一致した。

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