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余録

「お前たちは誰を捕らえたか知らないのだ…

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 「お前たちは誰を捕らえたか知らないのだ」。エーゲ海で海賊に拉致(らち)され、自分の身代金の額を聞いた時、こう豪語したのは後のローマの独裁者、カエサルである。20タラントの身代金を50タラントに増額させた▲身代金を払う方にすれば迷惑な人質だが、カエサルは監禁中も笑いながらお前らを処刑すると語り、海賊たちを笑わせた。身代金が支払われ解放されると、彼は直ちに軍船を率い海賊の拠点を急襲、一網打尽(いちもうだじん)にして処刑してしまった▲身代金の英語「ランサム」は古代ローマの抵当や質の「受け戻し」を指す言葉が起源という。質に入れてもいないのに日本語で「人質」というのと同じだ。弱みを握られた被害者には理不尽で、腹立たしい人質の受け戻し要求である▲ゲーム大手「カプコン」にサイバー攻撃を仕掛けた集団が大量の同社内部データを入手したとして、消去と引き換えに多額の仮想通貨を要求している。集団はその一部とみられるデータをネットで公開し、重ねて取引するよう求めた▲まさにデータを人質にした身代金要求だ。近年多いのはランサムウエアという暗号化ウイルスでデータを使えなくし、暗号解除キーと金銭を交換する手口である。今回の攻撃はデータを写し取った上で、この手口も用いているという▲データの誘拐や監禁をたくらむ悪知恵の進化にはどうしても一歩後れをとりがちなサイバーセキュリティーである。カエサルを捕らえた海賊たちの後悔をサイバー攻撃犯らに思い知らせる策はないものか。

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