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社説

大統領選後の日米関係 外交軸に同盟の再構築を

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 米民主党のバイデン氏が大統領選で当選を確実にし、米国の外交・安全保障政策は軌道修正が予想される。その中で、日米同盟の再構築も必要になるだろう。

 トランプ大統領は「米国第一主義」を掲げ、同盟国との関係を軽視した。米国が不公平な負担を余儀なくされていると主張し、同盟関係の見直しまでちらつかせて負担増を迫った。

 安倍晋三前首相は、トランプ氏と個人的な信頼関係を築くことで同盟が揺らぐのを防ごうとした。だが、米国製防衛装備品の大量購入に応じる姿勢には「対米追従」という批判も強かった。

 バイデン氏は、トランプ氏と異なり、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの連携を強める方針という。

 菅義偉首相との初めての電話協議では、日米同盟を強化する方針を確認した。

 とはいえ、米国の国力は相対的に低下している。圧倒的な軍事力を背景にした、かつてのような同盟関係は既に変容している。

インド太平洋構想が鍵

 米国が「内向き志向」を強めたのは、バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権時代からだ。オバマ前大統領は「米国は世界の警察官ではない」と述べ、国外の紛争への関与を減らす方向へかじを切った。

 福祉や雇用政策を重視する民主党が再び政権を担えば、国防予算は抑制されるだろう。バイデン氏は応分の負担を同盟国に求める考えも示している。

 米国がアジア太平洋への関与を低下させれば、「力の空白」が生まれて地域が不安定化しかねない。日本は米国の関心をこの地域につなぎ留める必要がある。

 最大の課題は、軍備拡張や海洋進出を強める中国とどのように向き合い、地域の平和と安定を確保するかだ。

 バイデン氏は、経済や安全保障問題で「同盟国や友好国と連携して中国に国際ルールを順守させる」と述べている。香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権問題についても批判してきた。

 米議会では、中国について「脅威」ととらえる認識が党派を超えて広がっている。米国の対中強硬姿勢が大きく変わることはないとの見方がある。

 バイデン氏は首相との電話協議で、沖縄県の尖閣諸島に、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されるという考えを示した。米国の基本姿勢は維持するという中国に対するメッセージだろう。

 首相は、同盟の強化に加え、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、連携していきたい」と呼びかけた。日米同盟を礎に、豪州やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの連携を強めていく構想だ。

 米中対立のはざまに立つ日本は、この構想を安全保障、経済両面の「対中包囲網」にするのではなく、むしろ、自由や人権、法の支配などの普遍的な価値を広げ、中国を国際秩序に取り込む枠組みにしていくべきだ。

主体的な戦略が必要だ

 日米間の当面の懸案は、在日米軍の駐留経費に関する交渉だ。

 在日米軍基地は、インド太平洋地域を見据える米軍の戦略的な重要拠点であり、米国も大きな利益を得ている。日本の貢献を粘り強く説明し、駐留経費をどこまで肩代わりすべきなのかを精査する必要がある。

 同盟の基盤となるのは在日米軍基地の安定的な運用であり、それを支えるのは地元住民の理解だ。そのためにも沖縄の過重な基地負担は軽減すべきだ。

 政権移行を好機ととらえ、米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設計画は、見直しを検討すべきではないか。

 日米地位協定は、米国が他の同盟国と結んでいる協定に比べて、不平等さが際立っている。改定の議論を始める時だ。

 トランプ氏の対北朝鮮政策は、首脳外交ばかりが目立ち、核やミサイルの問題は進展しなかった。バイデン氏は、北朝鮮が非核化に踏み出さない限り、首脳会談には応じない姿勢を示している。日本政府は緊密に連携し、拉致問題解決の糸口を探る必要がある。

 日米同盟を地域の平和や繁栄のためにどのように生かしていくのか。同盟のあり方を日本が主体的に考え、米新政権と議論を重ねるべきだ。

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