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母からもらった腎臓

臓器移植の実情を知り、考えてもらうために、倉岡一樹記者が実体験に即して移植医療の意義と必要性に迫ります。

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母からもらった腎臓

生体間移植を経験して/5 迫り来る失明の危機 高額な治療費、仕事復帰は進まず /東京

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 2017年10月19日、武蔵小杉駅前のコーヒー店。テーブルをはさんで、中部本社の直属の上司と向かい合った。休職して7カ月。今後の相談に、所属長がわざわざ名古屋からこちらまで出向いてくれたのだ。

 「体の具合は、どう?」

 穏やかな表情と口調が、つらかった。感謝の念ばかりの上司に無理な願いをどう切り出そうか、膝に乗せた手のひらをギュッと結んだ。「体調は、あまり上向きません」。私は正直に伝えた。「そうか」。互いに目線を落とし、会話が途切れた。その場を取り繕うためにすすったコーヒーの味は、ひときわ苦かった。一拍おいて、私は病状を事細かに伝えた。

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