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2017年10月19日、武蔵小杉駅前のコーヒー店。テーブルをはさんで、中部本社の直属の上司と向かい合った。休職して7カ月。今後の相談に、所属長がわざわざ名古屋からこちらまで出向いてくれたのだ。
「体の具合は、どう?」
穏やかな表情と口調が、つらかった。感謝の念ばかりの上司に無理な願いをどう切り出そうか、膝に乗せた手のひらをギュッと結んだ。「体調は、あまり上向きません」。私は正直に伝えた。「そうか」。互いに目線を落とし、会話が途切れた。その場を取り繕うためにすすったコーヒーの味は、ひときわ苦かった。一拍おいて、私は病状を事細かに伝えた。
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