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余録

東大嫌いの物理学者…

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 東大嫌いの物理学者、武谷三男(たけたに・みつお)は若き小柴昌俊(こしば・まさとし)さんの結婚式で語った。「今日の婿(むこ)さんは、東大を出たけれど、ビリで出たからまだいくらかの見込みはある」。「ビリ」を吹(ふい)聴(ちょう)したのは当の花婿さん自身だった▲後年、東大の卒業式の祝辞で小柴さんは自らの成績表を披露する。優2、良10、可4の成績はビリではなかろうが、ノーベル賞に輝く東大教授のものとも思えない。成績はどだい受け身の評価、この先は違うぞと卒業生に伝えたのだ▲「物事をとことん突き詰めると、勘の当たりが良くなる」。物理学者とも思えぬ論理を超越した名言も、変人を自認するキャラのたまものだった。その中には「運をつかめるかどうかは、日ごろから準備しているかどうかだ」もある▲何十年に1度の超新星爆発が観測されたのは、素粒子観測施設「カミオカンデ」の観測態勢が整ったばかりの時だった。1カ月後に東大を退官する小柴さんが心血を注いだカミオカンデは爆発で出たニュートリノをみごとにとらえた▲世界初のニュートリノ観測でノーベル物理学賞を受賞した小柴さんは、この発見は何の役に立つのかという記者の問いに断言した。「まったく役に立ちません」。そして「基礎科学の成果は人類共通の知的財産です」と言葉を足した▲小柴さんは目先の利益にとらわれない基礎科学研究の重要さを訴え続けた。では、日本の現状はどうか。「やれば、できる」との言葉も残したノーベル賞学者には、少し心残りもあった旅立ちかもしれない。

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