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社説

これからの米中関係 対立管理の仕組み必要だ

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 次期米大統領の座を確実にした民主党のバイデン氏にとって、外交政策の最重要課題はトランプ政権の4年間で悪化した米中関係にどう対応するかだ。

 世界の多くの国々が、世界経済をリードする2大国の関係安定化を望んでいる。日本や欧州諸国などと協力しながら、国際ルールに沿った行動を中国に促していくことを期待したい。

 トランプ大統領は関税を武器に米中貿易戦争を引き起こした。次世代技術をめぐって中国企業に制裁を科すなど中国への強硬姿勢を示してきた。

 特に新型コロナウイルスの流行後には大統領選戦略も絡んで中国を厳しく非難し、首脳間の対話も全く行われなくなった。

 バイデン氏はコロナ禍や地球温暖化、核管理、北朝鮮などの問題をめぐって中国と協力する必要性を認めている。

 中国側にもバイデン政権になれば、トランプ氏のような挑発的な発言や予測困難な行動が影を潜めるという期待感はある。

香港弾圧は見過ごせぬ

 しかし、米中の対立は経済問題や先端技術だけでなく、軍事から宇宙、さらには政治制度など幅広い分野に及んでいる。

 米国では米中の競争は長期間にわたって続くという見方が、与野党を問わず共通認識となった。

 バイデン氏も中国の不公正な貿易慣行や知的財産の盗用を批判している。人権問題ではトランプ氏よりも厳しい姿勢を取る。

 単独で中国に向かい合ったトランプ政権と異なるのは、米国が培ってきた同盟関係を生かそうとしていることだ。日本など同盟国には望ましい姿勢だ。

 中国も対立は長期化するとみている。それを前提に内需主導型の発展や独自技術の開発を目指す方針を打ち出している。

 中国は米国に衰退の影を感じ取っているのかもしれない。コロナ禍の拡大を防ぎきれず、大統領選の混乱も収拾できないからだ。

 香港では欧米などの批判を意に介さず、国際公約である「1国2制度」の形骸化を進める。国家安全維持法制定に加え、立法会(議会)からの民主派排除に動いた。

 だが、香港での民主主義の後退や新疆ウイグル自治区などでの少数民族への抑圧は、中国の内政問題にとどまらない。

 民主主義諸国が一致して普遍的な価値の重要性を説き、譲らない姿勢を示すことが必要だ。

 中国はコロナを封じ込め、経済回復を進めているが、自信過剰は禁物だ。グローバル化の時代に鎖国政策には戻れない。長期的な発展には国際協調が欠かせない。

 台湾海峡や南シナ海、東シナ海での活動にも自制が必要だ。国際ルールを無視するような行動が続くのでは共存が難しくなる。

 バイデン氏が副大統領を務めたオバマ前政権は中国の台頭をにらんでアジア太平洋に安全保障戦略の軸足を移す「アジア回帰」政策を提唱した。

 中国の軍事拡張や海洋進出を止められなかったという批判はある。だが、その発想は日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋構想」とも通じるものだ。

多国間主義の再構築を

 日米豪印の4カ国の枠組みも中国に抑制的な行動を求める上で有意義だ。こうした枠組みを生かしながら「アジア回帰」政策のさらなる深化を目指してはどうか。

 ただ、多くの国は中国とも経済を中心に幅広い関係を構築している。米中対立に巻き込まれることは望んでいない。

 次期国防長官に有力視されるフロノイ元国防次官は対中抑止力の再構築と共に「北京との持続的なハイレベルの戦略対話」の再開を提唱している。

 米ソ冷戦時代にも軍備管理の対話やデタント(緊張緩和)の時期があった。対立を衝突に結びつけない知恵が求められる。

 菅義偉首相は国会で「米中の安定的な関係は日本の国益に沿うのみならず、国際社会の平和と安定にも重要だ」と答弁した。

 米中対立の行方はまさに日本自身の将来に直結する問題だ。米国と十分な意思疎通を図りながら、中国とも首脳レベルの対話を続けることが必要だろう。

 コロナ禍は国際政治、経済にも大きな衝撃を与えた。米大統領選や日本の首相交代を機にコロナ対策でも国際協調を復活させ、米中両大国を含めた多国間主義の再構築を目指したい。

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