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続・沿岸南行記

砂の中から見つかった、はさみとバリカン 岩手・陸前高田で店を再開した理由

東日本大震災から9年8カ月の月命日。かつて慈恩寺に身を寄せた菅野文吉さん(左端)らが集まり、発生時刻に手を合わせた=岩手県陸前高田市で2020年11月11日午後2時46分、安藤いく子撮影

 秋の日が差す境内に、鐘の音が響く。岩手県陸前高田市の慈恩寺。東日本大震災から9年8カ月となる11月11日、住民たちは海に向かって手を合わせた。私も続いた。

 釜石市から50キロ南の陸前高田市は、震災で県内最大の犠牲者を出した。2011年3月11日、盛岡支局員だった私は岩手県警に詰め、次々と入る被害報告にぼうぜんとしていた。中でも陸前高田は突出していた。「ほぼ全域が水没」「広田半島は分断」。街がのみ込まれ、半島ごと孤立する。現実なのかと疑った。

 市の中心部から10キロほど離れた広田半島の泊地区も、港一帯は津波に襲われた。住民が頼ったのが、少し高台の慈恩寺だ。一時は80人が身を寄せた。被災を免れた家から届いた食料で煮炊きをし、大広間で雑魚寝した。当時取材した先輩記者が、4月8日の沿岸南行記に書いている。

 <朝5時、慈恩寺の境内で薪(まき)に火がつく。たき火を囲む男性たちは笑い合う。ひとしきり会話が弾んだら次は掃除だ。この日課もすっかり板についた>

 寺で避難生活を送った人たちの付き合いは、仮設住宅に移っても続いた。寺の大広間で…

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