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<女性編 インタビュー①>小島慶子さん「『稼ぐ男、支える女』のゆがみ露呈」 「1億総女子アナ社会」に警鐘

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小島慶子さん=アップルクロス提供
小島慶子さん=アップルクロス提供

 新型コロナウイルス禍で浮き彫りとなった女性の苦境について、エッセイストでひとり親家庭の支援をする小島慶子さんに話を聞いた。

 ――政府は女性活躍を掲げてきましたが、コロナ禍で職を失う女性が増えました。

 ◆新型コロナウイルスの感染拡大で最初に切られたのは、非正規雇用の女性だ。前政権が増やした女性の雇用というのは、最も都合良く使い捨てできる部分だったということだ。一部の大企業で役員に占める女性の割合は増えたが、労働市場の末端にいる弱い立場の女性を豊かにするところまで至らなかった。今後は、女性がより安定した立場で働けるようにすることが重要ではないか。一家の稼ぎ手である私も、新型コロナで講演依頼が一斉に延期やキャンセルとなり強い不安を覚えた。もっと厳しい立場にあるのはひとり親女性だ。年収はひとり親男性の半分の約200万円で、不安定な立場で働いている人が多い。そんな人たちを支えられればと思い、仲間と生活支援団体などを掲載し寄付を呼びかけるサイト「ひとりじゃないよプロジェクト」を始めた。

 ――「ステイホーム」という特殊な状況が女性の負担を増やしたとの指摘もあります。

 ◆世界中で、育児や介護といった家庭内のケア労働は女性の仕事であり、愛に裏打ちされた無償の労働であるのが当然とされてきた。意思決定層の大部分を占める男性たちが、男はお金を稼ぎ、女は後方支援部隊として衣食住を支える「性別役割分業」をベースに社会を作り、女性の役割はあくまでも補助的なものとみなされてきた。だが、今回の危機で“稼ぐ男、支える女”という仕組みのゆがみが露呈した。

 感染の危険にさらされながら働き続ける看護、介護現場の人やスーパーマーケットの店員などの多くは低賃金で働く女性で、そうした人たちこそが社会が機能不全になった時に最も必要とされる仕事、エッセンシャルワークを担っていることが明らかになった。同時に、“稼ぐ男”たちをはじめ人々が家にこもった時にも、女性たちは無償で家族のために休みなく家事をし、命を支えた。女性は男性の庇護(ひご)のもとで生活する、という前提で女性の賃金は低く、雇用も不安定で重要な働き手と見なされてこなかった。だが、危機で社会が機能不全に陥った時、そうした一番弱い立場の人たちが社会の基盤を支えていることがはっきりした。性別役割分業で回す社会は強くも効率的でもない、危機に弱い社会だということがはっきりした。こうして身をもって学んだのだから、変わらなければいけない。

 ――そのために必要なことは?

 ◆政治に女性の声を反映させることだが、日本では女性の政治家があまりに少ない。10月に発足したベルギーの新内閣は男女同数で、難民出身者やトランスジェンダーの人、30代の若者がおり多様性が注目された。菅義偉首相の組閣にも期待したが、結果を見て時が止まっているかのような重苦しい気持ちになった。女性政治家を増やすには、過渡期の措置として、(一定の議席を女性に割り当てる)クオータ制の導入を考えるべきだ。「女だというだけで優秀でもない人を政治家にすることには反対だ」という人もいるが、十分優秀な人たちがこれまで、女であるというだけの理由で政治家になる機会を阻まれてきた。「排除された者の明晰(めいせき)さ」という言葉があるが、仕事中心社会で長時間労働をしてきた男性よりも、職場にも家庭にも軸足を置き、両立の難しさや生きづらさを感じてきた女性や地域に根ざして暮らしてきた女性の方が社会的課題が見えやすい。

 ――日本社会はどう変化すべきでしょうか?

 ◆私は、日本を「1億総女子アナ社会」と呼んでいる。長く身を…

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