「氷上の詩人」小平奈緒 コロナ下で見つけた新たな「表現」
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レース後に発する独特な表現のコメントから「氷上の詩人」と評されるスピードスケート女子500メートルの五輪金メダリスト、小平奈緒(34)=相沢病院。新型コロナウイルス感染拡大の影響で環境が変化する中、新たに見いだした五輪、スケートの世界観とは。【松本晃】
「作品を表現する」
2018年2月、平昌冬季五輪(韓国)女子500メートル決勝。36秒94の五輪新記録で頂点に立った小平の胸に、ある感情が湧き上がった。「私は金メダルを目指してやってきたのではなく、その瞬間に人生の最高の作品を表現し、見てもらいたかったんだ」。金メダリストになった翌日の記者会見で、世界新記録を目指すと公言したのは、そんな気持ちからだった。
「作品を表現する」ことにこだわる小平は、練習でも感性を大切にしている。新型コロナの影響で、練習拠点としていたスケートリンクが今年4月~5月中旬に閉鎖され、苦手なランニングに取り組む時間が増えた時も、そうだった。舗装されていない道路を走る「地面と体とのやりとり」(小平)の中で新たな感覚を発見したという。
コーヒーの入れ方に学ぶスケーティング
コロナ下における世間や自身を包む「どんよりとした空気」の中、日々の生活に楽しみを見いだし、モチベーションをつないできた。その一つが豆からひくコーヒーをたしなむことだ。いれ方を工夫するうちに、スケートに通じるものがあると気づいた。「スケーティング…
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