<活字を楽しむ>
(荻野晃也著 緑風出版、2500円(税抜き))
原発の危険性を半世紀にわたり訴え続けた反骨の万年助手が京都大にいた。この年6月に80歳で亡くなった荻野晃也(おぎのこうや)さん=宇治市。原子力の基礎分野である原子核物理のメッカで研究と指導を続けながら、反原発運動に身を投じ、原発の安全性が争点になった四国電力伊方原発訴訟(1973年提訴、92年最高裁が住民側上告を棄却)では国を相手に法廷に立ち、「地震国の日本に原発立地の適地はない」と喝破した。遺著となる本書は、その闘いの軌跡であり、思索をたどる旅でもある。
日本初のノーベル賞の栄誉に輝いた湯川秀樹博士の下で学びたいと、京大理学部に入った。「原爆の強大なエネルギーを平和利用したい」。若き日の著者もそう願ったが、仲間と議論し、調べるうちに原発の、特に地震に対する危険性に目覚める。69年、若手研究者を中心とする反核の運動体「全国原子力科学技術者連合」(全原連)の組織化を主導し、反原発運動に生涯をささげた。
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