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社説

コロナと経済財政白書 危機乗り切る政策提案を

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 日本経済の課題を分析し、必要な対策や議論の材料を提供する。それが政府の経済財政白書の役割だ。新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた今年は、その役割を果たせただろうか。

 今月発表された白書は、コロナ禍で景気が落ち込むリスクに警戒感を示し、働き方改革やデジタル化への投資で「新たな生活様式」を構築することを提案している。

 いずれもしっかり取り組むべきテーマだが、現下の危機を乗り切る処方箋としては物足りない。

 白書を担当する西村康稔経済財政担当相はコロナ対策の司令塔でもある。感染症の専門家と政府のエコノミストが連携し、感染防止と経済活動を両立するための分析や提案に力を入れるべきだ。

 この点で白書は、飲食店や娯楽施設への外出動向と新規感染者数の関係を分析し、人出の増減が感染動向を左右するような因果関係は見られないと結論付けている。

 人が集まる場所や環境で感染リスクは異なる。より詳細に分析すれば、リスクを最小限に抑えつつ経済活動を拡大するヒントが見つかるかもしれない。もっと多角的な分析が必要だ。

 これまで講じた対策の効果や問題点の検証も不足している。

 例えば、事業者の休業に対する補償や、国民に10万円ずつ給付する政策は、生活や企業を支える上で十分だったのか。GoToキャンペーンの経済効果と感染拡大リスクとのバランスをどう考えるか。議論すべき課題は多い。

 分析の時間やデータが足りなかったという事情はあろう。しかし、感染拡大は将来も起こりうる。経済対策の効果を分析し、有効な手立てを備えておく必要がある。

 財政への影響も見過ごせない。今年度の政府予算は既に160兆円を超えた。コロナ対策は財源の多くを借金に頼っている。

 白書には、予算の賢明な使い方や成長を維持する政策が必要だとの指摘がある程度だ。政府債務の膨張で金融システムが混乱するようなリスクが高まっていないか、目配りが欠かせない。

 感染への警戒感が残るままでは、景気対策の効果はそがれる。経済の回復に向けて求められるのは、丁寧な分析と、それをもとに政策を立案する能力である。

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