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社説

米国の軍縮交渉 「核なき世界」路線を再び

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 米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は、オバマ前政権の旗印だった「核兵器なき世界」を再び目標に掲げる。

 米国はこの4年間、核軍拡にまい進した。ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄し、小型核兵器を配備した。

 核兵器開発を停止させるイランと米英独仏中露の合意から離脱した。米朝首脳会談を重ねても北朝鮮は核兵器を放棄していない。

 トランプ大統領の政策が、核の脅威を増大させたのは明らかだろう。同盟国の信頼も損ねた。

 政権交代を機に、「究極的な核廃絶」を目指す路線に立ち戻り、核軍縮を主導すべきだ。

 直近の課題は、来年2月に期限が切れる米露の新戦略兵器削減条約(新START)の延長だ。核弾頭数などを制限する両国間の唯一の核軍縮条約である。

 条約は長射程の核兵器や弾道ミサイルが対象だ。極超音速兵器などの最新兵器や中・短距離兵器用の弾頭は規制されていない。

 両国はすべての核弾頭数をひとまず凍結し協議することでほぼ一致している。条約を延長し、包括的な交渉につなげる必要がある。

 問題なのは、抑止力としての核兵器の役割を減らす場合、両国がどう軍事的な均衡を保っていくかを巡って利害が対立することだ。

 米国は通常兵器の保有規模で圧倒的な優位に立つ。核兵器の削減を進めても、強力な通常兵器が核兵器に匹敵する抑止機能を持つとオバマ前政権は説明していた。

 ロシアは新型核兵器の開発で米国に先行する。核兵器を削減すると、結果的に通常兵器の差で不利になると警戒している。

 合意は容易ではないが、粘り強く交渉するしかないだろう。

 不拡散の取り組みもたて直しが必要だ。イラン核合意に復帰し、北朝鮮との協議を再開すべきだ。それが信頼回復につながる。

 年明けには核兵器禁止条約が発効する運びだ。核拡散防止条約(NPT)再検討会議も開催される。核廃絶の動きを加速させるてこになることを期待したい。

 米国は核使用の脅しを外交交渉に利用してきた。相手国が対抗手段として核を保有したり、核態勢を強化したりする要因となった。この連鎖を断ち切るべきだ。

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