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#生きるのがつらいあなたへ

借金、離婚、売れないつらさ…それでも六角精児さんの心を救ったもの

名バイプレーヤーとして存在感を発揮する六角精児さん=大阪市中央区で2020年3月5日午後2時27分、関雄輔撮影

 ドラマ「相棒」の渋い脇役をはじめ、旅番組、バンド活動など、多方面で活躍する俳優の六角精児さん(58)は、大学時代からギャンブルにはまり、一時は1000万円近い借金を抱えたことがあるという。3度の離婚も経験し、俳優として生活が安定するようになったのは40歳を過ぎてから。それでも「死のうと思ったことは一度もない」と語る六角さんに、心の持ちようのヒントを尋ねた。【野村房代/統合デジタル取材センター】

「あきらめ」「駄目人間仲間」が心の保険に

 ――波瀾(はらん)万丈な人生を送ってこられたようにお見受けします。失礼ですが、死にたい気持ちになったことはないのですか。

 ◆借金を返すのに大変すぎて記憶があまりないんですが、不思議と死のうと思ったことは一度もないですね。おそらく自分はギャンブル依存症に近い状態だったのだと思うけど、逆に言えば依存するものがあったから、死に向かわなかったのかもしれない。

 ただ本当の依存症の人から話を聞くと、仕事をすっぽかしたり会社を辞めたりしてでもギャンブルをしてしまう、というケースが多いので、僕は依存の程度が軽かったのかな。俳優の仕事もアルバイトも、一応ちゃんと行っていましたから。純粋にギャンブルが好きだっただけなんですね。

 それから借金も離婚も、人生の中の一つの出来事として仕方ない、とどこかで考えていた節があります。僕は基本的に「あきらめ」とともに生きてきた人間なので。あきらめの境地に至る大きなきっかけがあったわけではないですが、母親が非常に教育熱心で、小学生の時から成績について厳しく叱責されることが多かったんです。それでテストを林に埋めたり自分で点数を書き換えたりして、ごまかしていた。でも高校に入って初めてのテストで最下位に近い順位になり、自分より優秀な人はいくらでもいるということを思い知らされて。そういう世の中で生きていくためには、真正面から勝負しても仕方ない、とあきらめた。人は人、自分は自分と納得することで、傷つくことから防御する癖をつけていったのかもしれません。

 例えばオーディションに落ち続けて、45回目にやっと受かったとする。次も受かればと期待するけど、その合格は「45分の1の確率」なんだと思えば、次に44回落ちても当然。45分の1だけの期待をして、あとはだめだった時のことを考えれば、スムーズにあきらめられる。僕の中であきらめは、心の保険なんです。

 ――あきらめのほかに、「死を遠ざけた要因」はありますか。

 ◆あきらめに通じるものですが、「先のことを考えない」ということ…

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残り4335文字(全文5400文字)

野村房代

2002年入社。岡山支局、東京・生活報道部などを経て20年春から統合デジタル取材センター。ファッション、アート、カルチャーについて主に取材。また、障害や差別など光が当たりづらいマイノリティーの問題に関心がある。1児の母。共著に「SNS暴力 なぜ人は匿名の暴力をふるうのか」(毎日新聞出版、2020年9月発売)

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