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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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1981年4月、米スペースシャトルが初めて打ち上げられた日は…

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 1981年4月、米スペースシャトルが初めて打ち上げられた日は、当時高校生の野口聡一(のぐち・そういち)さんにとっても忘れられぬ日となった。翼のあるシャトルの格好良さに、宇宙飛行士になる夢を本気で育み始めたのだ▲24年後、野口さんの夢をかなえたのは、シャトルの2度目の事故後の再開初飛行だった。野口さんのミッションは成功したが、当時すでに安全面とコスト高から技術的失敗作とされたシャトルは後継機もなく退役時期が近づいていた▲4年後、野口さんを再び宇宙に運んだのはロシアで60年代に開発されたソユーズ宇宙船だった。野口さんを宇宙へといざなったシャトルは飛べない「ターキー(七面鳥)」と評されて2011年に退役し、米国は有人宇宙船を失う▲米宇宙企業スペースXの新型宇宙船クルードラゴンは翼のないカプセル型だが、シャトル同様繰り返し使える。今年5月に初の有人飛行に成功し、野口さんの3度目の宇宙飛行は運用初号機による国際宇宙ステーション行きとなった▲シャトル、ソユーズ、クルードラゴンと、3種の異なる宇宙船に搭乗した宇宙飛行士は史上3人目とか。民間企業が開発した有人宇宙船の本格運用のスタートであり、米宇宙計画への米国製宇宙船の再登場ともなった打ち上げである▲「レジリエンス(回復する力)」とは、コロナ禍に苦しむ世界の回復を願っての宇宙船の機体名という。回復が新たな人類の夢の飛(ひ)翔(しょう)につながることも期待し、野口さんのミッションの無事達成を祈る。

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