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社説

RCEP15カ国署名 自由貿易立て直す契機に

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 アジア太平洋地域の包括的経済連携(RCEP)協定に15カ国が署名した。世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める大型の自由貿易圏が誕生する。

 日本にとって最大の貿易相手国である中国、3番目の韓国と初めて結ぶ経済連携協定(EPA)だ。日本企業は海外拠点の半分をRCEP域内に置き、供給網を築いている。関税など輸出入のコストが減れば、競争力を高められる。

 中国を念頭に、進出企業への技術移転の強要を禁じるといった規定も導入された。ルールを守る理念を共有し、自由で公正な経済活動の基盤を固める必要がある。

 一方で、中国や東南アジア諸国の参加を優先した結果、自由化の水準は低くなった。

 国有企業の優遇策に対する規制やデジタルデータの流通など、さらに整備すべき分野は多い。日本は協定発効後も、自由化の水準を高める努力を続ける必要がある。

 インドの復帰に向けた取り組みも問われる。日本は、RCEPが中国主導にならないよう、インドや豪州と連携する戦略を描いた。だが、貿易赤字の拡大を警戒したインドは交渉途中で離脱した。

 今後も成長が期待されるインドを取り込む意義は大きい。自由貿易で経済が浮揚する姿を示し、関心を引きつけることが肝要だ。

 アジア太平洋には、自由化の度合いがより高い環太平洋パートナーシップ協定(TPP)とあわせ、二つの大型EPAが併存することになる。今後はRCEPとTPPのどちらが経済ルールの標準になるかのせめぎ合いとなる。

 日本が貿易や投資を活性化するためには、先進的な経済ルールを定めたTPPを軸としつつ、RCEPの水準を段階的に高めていくべきだ。

 TPPは、最大の消費国である米国が離脱して存在感が低下した。政権交代を控えた米国の早期復帰は難しいが、来年TPPの議長国を務める日本は、働きかけを強める必要がある。英国やタイもTPPに関心を示している。拡大の機運を盛り上げたい。

 RCEPとTPPが刺激を与え合って経済を底上げすれば、保護主義の流れに一石を投じられる。今回の合意を、自由貿易体制を立て直す契機と位置づけたい。

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