病気のメカニズム解明へ 微小な世界をデータ化する「量子センサー」に迫る
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細胞や脳、心臓が活動する際に出すさまざまな信号は、病気のメカニズムを探る重要な手がかりだが、計測するのは難しい。この課題を「量子」で解決しようという研究が進んでいる。ナノ(10億分の1)サイズの微小な世界をデータ化する「量子センサー」に迫る。
量子センサーが実用化できれば、DNAやたんぱく質、細胞の他、活動している心臓や脳といった臓器などの温度や磁場を用途に応じて計測し、常に把握(モニタリング)できるようになる可能性がある。このため、認知症などの病気の解明や創薬への活用に期待が高まっている。また、脳や心臓の状態を調べることで、自動車を運転中のアクセルの踏み間違いや心臓発作、眠気を察知し、車から警報を出すことも想定されるという。
現在、例えば人が体温を知るには、脇に挟むタイプなどの体温計を使うのが一般的だ。しかし、病気の仕組みの解明や治療法を開発する上で必要とされる、腫瘍などの患部、それぞれの細胞、細胞を構成するたんぱく質などのレベルでの詳しい温度の把握は難しい。また、脳内の様子を観察するには、持ち運びのできない大がかりな装置が必要だ。
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