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閉じた空間で語られる開かれた言葉による連帯
◆『世界のひきこもり 地下茎コスモポリタニズムの出現』ぼそっと池井多・著(寿郎社/税別1800円)
その当人を知らないのに、イメージだけが積み重なっていく状態って危うい。「ひきこもり」も、そのひとつだろう。
35年もの間、ひきこもり生活を続けてきた著者は、自らを分析対象にしてくる専門家を警戒する。彼らは決して「自分と同じ人生や生活の地平に生きている者ではなかった」からだ。
世界各国のひきこもりと交流すべく「世界ひきこもり機構」を創設し、「ふつうの人」はもちろん、「家の中で生活している他の家族たち」さえも知らないネットワークが世界中に広がっていく。国も家族も会社も帰属意識が薄まっていく世の中にあって、ひきこもりという属性は、「素早く対等に通じ合えてしまう」のだ。
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