額田(ぬかた)たちの姿に、「おお。あれだ、あれだ」「ようやくお着きか」と口々に言って立ち上がる男たちは、揃(そろ)って真新しい袍(ほう)に錦の頭巾をいただき、髭(ひげ)や髪にも綺麗(きれい)に櫛目(くしめ)が通っている。とはいえそれが近江国府からの迎えとも見えぬのは、腰の屈(かが)まった老爺(ろうや)や十四、五歳の少年までが混じっているためだ。
「お待ちしておりました。わたくしはあれなる大友(おおともの)郷に暮らす大友村主(すぐり)(大友氏の首長)でございます。中臣(なかとみの)鎌足(かまたり)さまのご下命を受け、本日より滋賀郡をご案内いたします」
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