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大変な年である。コロナ禍で世界の様相が一変した。大激戦のアメリカ大統領選挙があった。我が国でも8年ぶりに首相が代わった。東京五輪は延期になったが、はたして開かれるのだろうか? まったく先行きが見えない。
こういう時は、表層的な事象の変化ばかりを追っていても仕方がない。むしろ長い時代を頑固に生き抜いた個性、突出した表現者の声に耳を傾けるのが有益なのだな、と痛感した。そう、川久保玲のことである。
ファッションブランド、コムデギャルソンの著名デザイナーだ。が、ほとんど取材に応じることはなく、映像メディアでは見たことがない。ある夜、ニュース番組に彼女が出ていて、驚いた。へぇ~、こんな人だったのか! 大きなマスクをしていたが、発言ははっきりとしている。どうして異例のテレビ出演を? 「こういう状況下で、(もの作りの)パワーの大切さを皆さんにわかってほしかった」。ファッションショーの後の取材だったが、新作のテーマを問われ、彼女はこう答えた。
――不協和音。
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