メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

脱炭素化~2050年の社会像

脱炭素社会「地方にポテンシャル」 小泉環境相が描く“温室効果ガス50年ゼロ”の道

2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを表明した地方公共団体を記した地図の前で、インタビューに答える小泉進次郎環境相=環境省で2020年11月11日午後4時44分、手塚耕一郎撮影

 菅義偉首相が10月、2050年までに国内の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を実質ゼロ=①=にすると宣言した。昨年の就任当初から政府内でゼロ宣言の必要性を訴え続け、菅首相を動かした小泉進次郎環境相の役割と責任は今まで以上に重くなったが、エネルギー政策の多くは経済産業省の所管だ。目標の達成に向け、環境省はどう関与していくのか。目指す「脱炭素社会」の将来像を、小泉氏に聞いた。【科学環境部・鈴木理之】

自治体の再エネ導入を支援

 ――菅首相はゼロ宣言の中で国と地方で検討を行う新たな場を設けると言及した。環境省としてどう関わり、どのような場を目指すのか?

 ◆地域の脱炭素の具体的な支援策を考えていく場にしたい。今まで環境省は、自治体のゼロカーボン宣言=②=を後押ししてきた。今や自治体数170以上、人口規模は8000万人を超えた。この自治体の後押しが政府としての宣言につながったと思う。来年度の概算要求には自治体の再エネ導入支援を入れている。環境省だけでなく、政府を挙げて後押ししていく。今後は総務省、経産省、(内閣府の)地方創生(担当)といった関係部局にも入ってもらって、国と地方が一緒になってカーボンニュートラルの道を歩んでいけるようにしたい。

 ――今後の具体的なスケジュールは?

 ◆来年11月のCOP26を見据えている。COP26までに、日本の50年カーボンニュートラルが不退転の決意であり、できる限り具体性を持ったものとして伝えられるようにしたい。地球温暖化対策計画=③=やエネルギー基本計画=④=の見直しもあるが、我々環境省のやるべきことは地方の脱炭素化支援、そしてライフスタイルのイノベーション。「地域」と「暮らし」を脱炭素型に転換していく。

「地産地消」で地域経済にプラスを

 ――自治体のエネルギー収支=⑤=は全国の約9割が赤字だ。エネルギー収支の黒字化を目指すのか?

 ◆13年の環境省の全国調査では、約9割の自治体のエネルギー収支が赤字で、約7割の自治体で地域内総生産の5%以上の資金が自治体の外に流出している。これから人口減少の中でもうかる自治体、黒字化の自治体を増やしていく。地方には、地元の木材や自然資源など再生可能エネルギーのポテンシャルはすごく高い。それを活用すれば自分たちの地域の中で資金循環ができる。エネルギーの地産地消ができる可能性は大きい。地域の新電力は全国で50~60あるが、こういった動きをもっと後押しして自立分散型の地域をつくっていく。エネルギーの地産地消、食の地産地消、さまざまな地産地消がその地域の中で次々と生まれてくれば、自治体がもうかって地域の経済にもプラスになる。そして災害にも強い分散型社会につながっていく。

 ――そこが、環境省が一番やるべき方向性なのか。

 ◆9割の自治体が、本当だったら自分たちの資源を活用すれば黒字になるかもしれないのに赤字になっている。それを黒字にする。その後押しをどうするか。エネルギー担当の人材がいる自治体はなかなかない。エネルギー政策は国だから。人的、技術的な支援やノウハウの支援を合わせていって、もうかる自治体をつくっていきたい。その結果、ゼロカーボン自治体のようなカーボンニュートラルの地域も増え、今までだったら流出していた資金の流れが地域の中で巡る黒字自治体を一つでも多くつくりたい。

 今は9割が赤字だが、黒字化を1割じゃなくて2割、3割、4割と最終的には地域の中で黒字化の自治体がより多くなれば、まさに一極集中ではなく、新しい感染症にも強い持続可能で強靱(きょうじん)な地域社会ができると思う。

 ――自治体の黒字化は50年までに実現できるか。

 ◆50年を待たずに前倒しでカーボンニュートラルを達成できる自治体がたくさん出てくるだろう。できるだけ早く実現させたい。エネルギー収支が黒字になる自治体を一つでも多く作り上げていきたい。首相は恐らく30年後のことを言ったと受け止める人が一部でいると思うが、全くそんなことはなく、今からやらなければいけないことだ。一つ一つの地域で見れば、50年まで待たずにカーボンニュートラルが実現できる地域はたくさんあるはず。環境省としては、一年でも早くカーボンニュートラルの実現自治体第1号を作り、国民に50年カーボンニュートラルは実現可能だという自信を持ってもらえるようにしたい。

 ――地球温暖化対策推進法=⑥=改正に向けた議論も進んでいるが、改正の中身は?

 ◆首相がゼロ宣言をした後に、この温対法の見直しというタイミングになった。来年この法改正が国会で議論されるとしたら、国として、カーボンニュートラルの思いがしっかりと入った中身にしたい。自治体だけじゃなく企業の脱炭素経営や前向きな取り組み、これが情報開示で後押しされるようなことも考えていきたい。

ライフスタイルの転換を

 ――50年ゼロに向けて梶山弘志経産相は「経産省が主導していく」と繰り返し述べている。環境省はどうやって存在感を発揮していくのか?

 ◆一言で言うと、経産省はエネルギー、環境省は地域や暮らし、国民生活。ライフスタイルを転換しなければ、エネルギーだけ変えてもカーボンニュートラルは実現できない。ライフスタイル由来のCO2排出量は全体の6割近くあるとも言われていて、この中には食、移動、住宅、さまざまなものが含まれている。そして最近、世界のガソリン車の販売禁止の動きがある中で、日本は電気自動車(EV)のシェアが1%にも満たない。

 EVや燃料電池自動車(FCV)の普及をどのように後押ししていくのか、こういったこともライフスタイルに関わる。そして住宅の分野でも脱炭素化を進める…

この記事は有料記事です。

残り2674文字(全文5007文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 新型コロナ 重症者最多934人

  2. 自公、北海道2区補選で「不戦敗」選択 惨敗すれば首相の責任論 吉川元農相在宅起訴

  3. 五嶋みどりさんにケネディ・センター名誉賞 日本出身者で小澤征爾さんに次ぎ2人目

  4. 吉川元農相、異例の在宅起訴 端緒は河井夫妻捜査 養鶏業界実力者が図った政界工作

  5. 感染防止策違反に「氏名公表」は厳しすぎるリンチか 自民には「不十分」の声

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです