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見つめ続ける・大震災10年へ

高熱に泣いた乳児…走って、笑ってトライ 医療途絶えた3.11、母はただ抱いた

ラグビーの練習で走る藤原昂平さん。「トライするのが大好き」と楕円球を追いかける=岩手県釜石市で2020年10月18日、小川昌宏撮影

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 「ラグビーのまち」岩手県釜石市。藤原昂平(こうへい)さん(11)は秋晴れの青空の下、楕円(だえん)球を追い掛けていた。東日本大震災の避難所で泣いていた男の子は今、チームメートと体をぶつけ合い、芝生を転がり、笑っていた。

 震災から7日目の同県陸前高田市。寺を利用した避難所で、当時1歳4カ月の昂平さんは高熱を出していた。40度近くまで上がることもあったが、車のガソリンがないため病院にも行けず、暖房もない部屋で母美紗さん(34)は抱きしめることしかできなかった。発生から1週間近くたっても乳児が医療にアクセスできないという現実が、改めて被害の大きさと深刻さを表していた。

薄暗い避難所で美紗さんに抱かれ、高熱を出して泣く昂平さん=岩手県陸前高田市で2011年3月17日、小川昌宏撮影

 仮設住宅に入居した後も昂平さんは余震の度に泣き出し、発熱することもあった。医師から「精神的なもので震災の影響では」と言われることもあったが、その後は健やかに成長した。小学校の入学前、スーツを着てネクタイを締め、真新しいランドセルを背負った姿はたくましく見えた。

 今は市内の災害公営住宅で暮らし、夢中になっているラグビーは小学2年の時に始めた。「トライするのが楽しい」。学校の休み時間は友達とサッカー、お気に入りの授業は体育で、とにかく体を動かすことが大好きだ。今は風邪もめったに引かない。

 「強くなってくれた」と話す美紗さんは「震災以来、この先どうなるのかとずっと不安があったが、今は少し落ち着いた。このまま伸び伸びと育ってほしい」と目を細めた。【小川昌宏】

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