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余録

「わずか二か月に満たずして衆人同病にかからざるはなし…

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 「わずか二か月に満たずして衆人同病にかからざるはなし。邪もまた霊怪なるかな」。天保年間にはやり「琉球風」と呼ばれたインフルエンザについて、当時の医者が流行の早さと広がりに驚いている記述だ▲この時は上方(かみがた)で流行した20日後には江戸でも感染が広がったという。さらに江戸から今の青森県までは約40日で伝わっている。計算すると江戸・上方間の伝染速度が後者の約1・5倍だったのは、交通量が格段に多かったためだろう▲移動手段が主に人の足しかなかった時代に、たちまち列島を席巻(せっけん)して医者を嘆息させたインフルエンザの広がりだった。今また人の動きに便乗するウイルスに、列島全体が身構えねばならぬ新型コロナの感染「第3波」の到来である▲先週から北海道をはじめ各地で新規感染者数の「過去最多」が次々に報じられ、きのうは東京でも8月の第2波の記録を超える1日493人の感染が伝えられた。都はきょうにも、感染の警戒レベルを最高ランクに引き上げるという▲今夏の感染拡大時に比べると、高齢者の感染や重症化する患者が多いというこの第3波である。地方では手薄な医療態勢への不安の声が聞こえる。コロナによる重症者増が、冬に多い他の致命的疾患の治療もマヒさせかねないからだ▲米欧では医療逼迫(ひっぱく)が伝えられる現在の感染拡大だが、その轍(てつ)を踏まずにこの冬を越せるだろうか。「邪の霊怪」の正体が実は人の動きや振る舞いなのを知る今日の人、自治体、政府に突きつけられた問いだ。

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