メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

恋ふらむ鳥は

/156 澤田瞳子 画 村田涼平

「ふうむ。こうやって眺めると、やはり宮室を置くにふさわしい地は一か所しかないなあ」

「この錦織(にしごり)とやら呼ばれている郷でございますな。ただそれとて、少々山を削って平地を増やさねば、東の垣根が波打ち際にひっかかってしまいます。早速、人をやり、作事を始めさせましょう」

 葛城(かつらぎの)王子(みこ)と中臣(なかとみの)鎌足(かまたり)は完成した地図を覗(のぞ)き込んで、遷都の計画に忙しい。それとなく額田(ぬかた)が告げた西の山嶺(さんれい)の峻険(しゅんけん)さ、日脚の短さにも、さして関心を抱く風ではなかった。

 吹き入る風が冷たい時、炭櫃(すびつ)の火を搔(か)き立てて必死に部屋を暖めるのは、結局、女だ。干した衣が日当たりの悪さゆえに生乾きとなって困り果てるのも、黴(かび)が生えた米を蓆(むしろ)に広げて乾かすのも、男には――ましてや葛城や鎌足のような者には、縁なき仕事だろう。

この記事は有料記事です。

残り737文字(全文1132文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. トランプ氏「ホワイトハウスを去る」 バイデン氏の当選確定したら 負けは認めず

  2. 日立製作所vsヤマハ 第6日第1試合スタメン 午前10時から 都市対抗野球

  3. 一斉休校は「科学より政治」の悪い例 クルーズ船対応の失敗を告発した岩田教授に聞く

  4. コロナ禍に売り上げ急回復、相次ぐ新規出店 焼き肉店が好調なワケ

  5. 「緊急事態宣言でも一斉休校せず」  萩生田文科相 共通テストも「予定通り」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです