犀川のほとりで 眼 その一=室生洲々子 /石川

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 顔にコンプレックスを持っていた祖父は、若い頃、伊達眼鏡をかけていた。それゆえ目が悪くなったと、思っていたようだ。日記にも、鬼頭眼科へという記述が散見される。母も私も、幼い頃はその鬼頭眼科へ通った。遺伝なのかもしれないが、我が家はみんな眼が悪い。

 数年前から、目の前に細かい黒い虫が飛ぶようになった。眼科で診てもらうと飛蚊症と診断され、加齢によるもので心配はないと言われた。が、先月になって、左目に異変が起きた。幕のようなものが舞うように見える。この状態が一日中続き、尋常ではないと思って受診した。

 瞳を開いて診る、という検査だそうだ。目薬をさして、二〇分ほど待つ。診察室に入ると照明が消され、眼の写真が撮られた。先生は鏡のようなものを持ち、光を当てながら「真上を見て、右横を見て」と指示し、上下左右、眼の中を見ておられる。右目も同様に診察は進み、右端で何かを確認するように先生の動きが止まる。「こちらの椅子に座って下さい」と言われ、ふたたび写真を撮られる。それを見た先生が、おもむろにうなずかれた…

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