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赤旗はなぜ桜を見る会をスクープできたのか 見逃し続けた自戒を込めて、編集長に聞いてみた

「桜を見る会」で記念撮影する安倍晋三首相と昭恵夫人=東京都新宿区の新宿御苑で2016年4月9日午前9時57分、徳野仁子撮影

 国内の優れた報道に贈られる今年の「日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞」の大賞に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版が選ばれた。安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」を巡る一連のスクープが受賞の理由だ。桜を見る会は毎年、毎日新聞を含めた大手メディアが恒例行事として取材してきたものだが、赤旗がスクープできて、大手メディアができなかったのはなぜなのか。実は私も政治部に所属していた当時、桜を見る会を取材した経験がある。日曜版編集長に話を聞いた。【古川宗/統合デジタル取材センター】 

気になった官邸職員のぼやき

 編集長の話に入る前に、私自身の話をしておきたい。私は2018年4月から約1年間、政治部で当時の安倍首相の首相番を務めた。桜を見る会を取材したのは、首相番の「卒業」が見えてきた19年4月で、翌年から中止となったため、事実上最後の会だった。

 首相番は、首相の動静や発言を追うことが主な仕事で、恥ずかしながら、取材当時は、桜を見る会がここまで大問題になるとは予想だにしていなかった。毎年行われている首相主催の行事で、首相の発言のニュース性や招待されている有名人をチェックすれば取材としては十分だろう――。当時はそのぐらいに考えていた。ただ、一点妙に印象に残っているのが、芸能人と記念撮影する安倍前首相を見ながら、官邸のある職員が「この行事も毎年やっているけど、目的がよく分からなくなっていますよね……」とぼやいていたことだ。

 その半年後、私は首相番から、参院担当に変わったが、まさにその参院の予算委員会で、共産党の田村智子議員が質問したことで、桜を見る会は世間の批判を集めるようになった。年々増えていく後援会関係の招待客、ふくらむ予算……。田村氏の質問は赤旗日曜版での報道を基にしたもので、その後、前夜祭や地方議員を対象にした研修会の問題も明るみになった。いずれも取材したことがあっただけに、問題意識を持てなかったことを悔やむとともに、気恥ずかしさが残った。

ネットで情報収集、地元議員から裏付け

 赤旗日曜版の記者にあって、私たちに足りなかったものは何か――。それが知りたくて、日曜版編集長の山本豊彦さん(58)に会いに行った。

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古川宗

1988年福島県生まれ。2013年入社。高松支局、富山支局、政治部を経て2020年4月から統合デジタル取材センター。富山時代には政務活動費の不正受給問題、政治部では首相官邸や参院自民党などを取材し、この春には育児休暇を2カ月取得しました。趣味は海外の文芸書の収集で、好きな作家はトマス・ピンチョン。

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