川の近くなど浸水の危険があるエリアに建つ高齢者施設が少なくない。毎日新聞の調査では、全国の特別養護老人ホームの3割が該当する。近年、台風や大雨の影響で浸水する施設が相次ぐが、そもそもなぜこうした危険なエリアに建っているのか――。その背景を探ると、立地場所が限られる事情が見えてきた。
埼玉県川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」は2019年、台風19号による大雨の影響で1階部分が水没した。約100人の入所者・利用者と職員24人が一時孤立し、消防のボートで救出された。死者は出なかった。
施設は、堤防が決壊した越辺(おっぺ)川に近い。市のハザードマップの浸水想定区域にあり、これまでに何度も水害に遭っていたため、施設側は対策を講じていた。隣接する高台に2階建ての別棟を建て、年に数回の避難訓練も重ねていた。台風19号の接近時は停電の中で3時間かけて、寝たきりのお年寄りらをベッドごと別棟の2階へと避難させた。
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