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伊藤亜紗・評 『トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回』=宮地尚子・著

『トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回』

 (金剛出版・3740円)

被害者の反応の必然性に気づく

 強制収容所で、排泄(はいせつ)に使った鉢でスープを飲まされていた女性。薬物依存の両親から逃れた先の親戚の家で、ひどい虐待を受けていた少年。正直、本書で紹介されるエピソードは、どれも目を背けたくなるようなものばかりだ。それでも最後まで読み通すことができたのは、著者の語りが、感情的な予断を介在させることを静かに牽制(けんせい)し、身体的な想像力が入り込むことのできる余白を優しく作り出してくれたからである。

 この余白が生まれるのは、とりも直さず、著者がトラウマを単なる心的現象として扱うのではなく、身体の具体的な感覚に則して考えようとしているからである。おぞましい出来事のさなかで、あるいはそれを経験したあとで、体はどのような状態に陥るのか。異常に見えた被害者の行動が、一気に当然の反応に思えてくる。

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