技能実習生は失踪中に在留資格が切れれば不法滞在者となり、本来であれば収容され、母国へ強制送還される。だが、ここにもコロナ禍が影響している。【菊池陽南子、妹尾直道/前橋支局、中川友希/さいたま支局】
航空便が減り、帰国困難な状態が続く中、出入国在留管理庁は、収容施設の感染防止対策として、一定の条件で収容を解く「仮放免」制度を積極運用している。仮放免許可数は今年4月だけで昨年の月平均の3~4倍に当たる563件に急増している。仮放免中は就労が禁止されているため経済的にさらに苦しい生活を強いられる。
ベトナム国籍の元技能実習生の男性(28)もその一人だ。
「早く帰りたい」
男性は11月9日、毎日新聞の取材に涙をこぼしながら、この4年間の日本での生活を振り返った。
約80万円を借金して工面し、2016年10月に来日した。熊本県北部にある農業用ビニールハウスの建設会社で働いていた。会社から与えられた住居はコンテナの一部屋。すし詰め状態で3人が暮らした。シャワーは屋外に設置されたビニール張りのテント内。冬は風が吹き込み凍えるような寒さだった。
1カ月の休みは4日ほどしかなかった。月給は9万~10万円で、このうち2万円を住居費として会社に支払うと、手元には7万円しか残らない。
日本人の同僚が話す熊本弁が分からず聞き返すと、建築に使うボルトを投げつけられた。社長に環境改善を訴えても、取り合ってもらえなかった。
入国から1年がたとうとした17年9月。突然、社長から「来週ベトナムに帰りなさい」と切り出された。
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