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第70期王将戦リーグ特選譜

角を捨てる英断の一手で広瀬八段が最終局を勝利 永瀬王座は痛い1敗で豊島竜王とプレーオフへ

<王将戦挑戦者決定リーグ戦>初手を指す広瀬章人八段(左、右は永瀬拓矢王座)=東京・将棋会館で2020年11月20日(代表撮影)

 9月に開幕し、約2カ月たってリーグ最終局を迎えた。王将戦リーグは対局間隔が短く、短期間で進むリーグ戦として知られるが、その分、その時に一番調子がいい棋士が突っ走る傾向がある。今期は永瀬拓矢王座がそれに当たるのだろうか。初のリーグ入りにもかかわらずいきなり5連勝。まだ負けていない。白星の中には羽生善治九段、豊島将之竜王と競争相手に勝ったものも含まれており、本局に全勝挑戦をかける。一方、敗れると、豊島―羽生戦の勝者とプレーオフになる。まだ十分に挑戦の可能性があるとはいえ、できればプレーオフは避けたいところだろう。

 前期挑戦して渡辺明王将に3勝4敗で惜敗した広瀬章人八段は当然連続挑戦を狙っただろうが、ここまで2勝3敗。挑戦の可能性はなくなり、残留争いを演じることになった。しかし、前期挑戦者のため順位は最上位。自身が勝てば残留決定。敗れても、藤井聡太王位が敗れると負け越しでも残留となる。しかも、最終局の相手は永瀬で、挑戦争いにも影響を及ぼす立場になった。注目される一局に燃えるものがあるだろう。対局前日の自身のブログでは「私自身にとっても大きな一番になるので精いっぱい頑張りたい」と記していた。【山村英樹】=▲が先手、△が後手

<第70期王将戦リーグ7回戦>

2020年11月20日

持ち時間各4時間

場所・将棋会館

▲広瀬章人八段(2勝3敗)

△永瀬拓矢王座(5勝)

▲7六歩1 △3四歩  ▲2六歩  △8四歩

▲2五歩  △8五歩  ▲7八金  △3二金

▲2四歩  △同 歩  ▲同 飛  △8六歩

▲同 歩  △同 飛  ▲3四飛1 △3三角

▲5八玉1 △4二銀1 ▲3六飛1 △8四飛

▲2六飛1 △2三歩  ▲8七歩1 △9四歩

▲9六歩1 △7二銀  ▲3八銀1 △1四歩3

▲7七角5 △1五歩4 ▲6八銀6 △5二玉2

▲3六歩6 △3四飛3 ▲3七桂17 △6二玉15

(第1図)

 9日に両者は棋王戦本戦の準決勝で対戦し、広瀬が決勝進出を果たした。永瀬は敗者復活戦に回った。年が改まると王将戦七番勝負、棋王戦五番勝負が続いて開幕する。防衛する立場の渡辺明王将・棋王は例年のことで慣れている意味もあるが、2棋戦とも挑戦する立場になれば、新年早々気が引き締まる思いだろう。

 後手番の永瀬は横歩取りに誘導した。先手の対策が進んで一時の全盛期からは下火になった戦法だが、最近は有力な指し方がいくつか試されて採用される機会が増えている。横歩取りの後手番を持つ棋士はスペシャリストの要素があり、永瀬もその一人。大一番にぶつけてきた。

 広瀬はもっともオーソドックスな指し方の▲3六飛~▲2六飛と2筋に戻す形を採用した。永瀬は1筋の位を取った後、飛車を回って△6二玉と右方に移動させたが、「作りが悪すぎて課題が多くあります。作戦がかなり失敗し(第1図では)悪いと思いました」と局後に語った。

 第1図以下の指し手

▲4八金13 △2四飛2 ▲2五歩21 △7四飛

▲3五歩  △7一玉15 ▲3三角成29△同 銀15

▲7七桂  △4四銀33 ▲2四歩9 △3五銀13

▲2五飛6 △2四銀  ▲8五飛  △8四歩3

▲5五飛  △2八角6 ▲6五桂14 △1九角成24

▲5三桂成 △5一香  ▲4一角8 △3一金10

(第2図)

 「悪いと思っていた」永瀬だが、第1図からは「かなり盛り返したと思います」という。将棋プレミアムの解説でも△4四銀と進出して先手の飛を圧迫にかかったところでは「後手を持ちたい」の声が出ていた。3五の歩を守るためには▲3六飛だが、△5四角で飛を逃げると△3六歩と桂頭に打たれる。

 将棋プレミアムの解説では…

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山村英樹

1981年入社。青森支局を経て1986年から東京学芸部で囲碁将棋などを担当。

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