うずくまった格好で蹴られる場合はとにかく頭をガードするのが鉄則だ。そうでないと、強烈なサッカーボールキックを食らって最悪即死もありうる。この一般常識にならい、横口健二は両手を後頭部で組みあわせ、できるかぎりまるまって脳へのダメージを最小限に抑えようと試みる。が、体のどこを蹴られても痛いことは痛い。おなじ体勢を維持するのもむつかしく、がら空きの脇腹へつまさきを思いきりぶちこまれたりすれば苦痛にあえがずにはいられず、攻撃から逃れようとして体もおのずと水たまりのうえを転げまわる。
そんななか、痛いとか苦しいとか感じながらも思考はめぐる。頭はただ解放だけをもとめており、これに終わりはあるのかと、知りえぬ答えをひたすらに探しつづけてしまう。
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