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「コメ余り」が深刻 外食需要低下にコロナ追い打ち、価格は下落

荒井賢蔵さんやほかの生産者が今年収穫したコメが保管されている倉庫=長野県信濃町で2020年10月13日午前11時52分、井川加菜美撮影

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 コメの国内需要が急速に落ち込んでいる。人口減少や食生活の変化で下落傾向だったところに、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけた。農林水産省が示した2021年産の主食用米の適正生産量の見込みは693万トンと、700万トンを割り込んだ。供給が需要を上回る「コメ余り」は深刻化し、米価の下落が止まらない。実りの秋なのに、コメ農家の苦悩は深まる一方だ。【井川加菜美】

 「今年はだいぶ差がついた」。長野県信濃町のコメ農家、荒井賢蔵さん(73)は肩を落とす。約10ヘクタールの水田にあきたこまち、コシヒカリ、ミルキークイーンの3品種を育て、収穫の時期を迎えている。しかし、買い取り価格(60キロ)は昨年に比べ、あきたこまちで約700円、コシヒカリで約300円下がるという。卸業者からは「去年のコメが倉庫にいっぱい残っていて入らない」と言われた。荒井さんは「(コメ作りの)経費は変わらないから、価格が下がれば利益が削られてしまう」と話す。

 農水省が今年7月に公表した昨年7月~今年6月のコメ需要は713万トン(速報値)と、前年比で22万トンも減少した。近年のコメ需要は年に10万トンのペースで減っているが、今回の落ち込みはその2倍以上になる。

 背景には、新型コロナの影響により訪日外国人観光客需要がほぼ消滅したこと、営業自粛に伴う外食需要が落ち込んだことがある。農水省は、今年1~6月に訪れていたはずの外国人観光客数を約1270万人、平均宿泊数(9泊)の間に1人当たり茶わん1杯のご飯(65グラム)を1日2回食べたと仮定し、消費量を約1・5万トンと推計した。これがまるごとなくなった。

 緊急事態宣言期間中の外食自粛や飲食店の営業自粛で外食向けなどのコメ需要も8・6万トン減った。「巣ごもり需要」で家庭向けのコメ需要は7・7万トン増加したものの、全体の落ち込みをカバーしきれていないのが現状だ。

 全国有数の米どころ・新潟県は7月、県内農業団体が共同で、主食用の水田を米粉用米などへ転換するよう促す「田んぼ一枚転換運動」を初めて呼びかけた。同県の担当者は「コメの需要の落ち込みは想定を倍以上も上回っている」と語る。

 コメの民間在庫量(6月末現在)は、価格下落につながるとされる200万トンを超えた。「コメ余り」に対応するため、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、今年収穫の主食用米のうち20万トンの販売を翌年以降に遅らせ、価格下落を抑える方針を示した。

 荒井さんは「家族や友人においしい国産のコメを食べさせたい」と思い立ち、40代半ばでシイタケ農家からコメ農家に転身した。だが、3年ほど前からは地主に田んぼの一部を返し始めた。コメ需要の落ち込みを「受け止めざるを得ない」とも思う。それでも「農家はみな、消費者においしいお米を食べてもらおうと頑張っている。消費者の方も日本の農地、農業を守るんだという思いで、日本のお米を食べてほしい」と話している。

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