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100年カンパニーの知恵

膨大な同業者が退場していった中で、彼らが日々を重ねられた理由は何か。幸運や巡り合わせというだけでは見過ごしてしまう細部があるに違いない。その知恵を広く共有すべく、じっくり語っていただいた。

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100年カンパニーの知恵

三省堂/中 「初めて」への挑戦続く

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明治時代の三省堂店舗。客らしい和装の学生が見える=社史「三省堂の百年」より
明治時代の三省堂店舗。客らしい和装の学生が見える=社史「三省堂の百年」より

 <since 1881>

 創業者の亀井忠一(1856~1936年)は、江戸幕府旗本家の出身。明治時代、言論・出版界の礎を築いたのは新政府への「義憤」にかられた旧幕臣層だったといわれるが、亀井を際立たせるのは、実業家としての先見性と「実用性」への傾注だ。

 古書店創業3年後の1884年には最初の英語辞書を刊行、出版業に乗り出す。質素な体裁だが安価で、高い洋書に手が出ない学生には福音だった。

 その後、亀井は街を歩く学生の話をよく聞き、「携帯辞典は当たる」と直感したようだ。1922年には小型英和辞典の原形「袖珍(しゅうちん)コンサイス英和辞典」を刊行。「ポケットサイズ」という商品価値を生んだ。

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