連載

タネがなくなる日

農家が採った種や苗を次の作付けに使う自家増殖。新しい野菜や果物の自家増殖を制限する種苗法改正案が衆院を通過し、参院で審議入り。農業や品種開発の現場を取材すると、種の生産が先細りし、新たな品種も生まれにくい状況がみえてきました。「タネ」を巡る現状を報告します。

連載一覧

タネがなくなる日

<上>「中国から種が届きません」海外依存、コロナでリスク なぜ国内生産先細り?

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
アサヒ農園では販売前の種を自社の農場にまき、品質に問題がないことを確認している=愛知県一宮市で2020年10月27日午後0時39分、林田七恵撮影
アサヒ農園では販売前の種を自社の農場にまき、品質に問題がないことを確認している=愛知県一宮市で2020年10月27日午後0時39分、林田七恵撮影

 「中国から種が届きません」。愛知県稲沢市の種苗会社「アサヒ農園」の後藤成紀会長(52)は、社内の担当者の報告に肝を冷やした。今年1~2月、中国では新型コロナウイルスの感染状況が深刻化し、物流にも混乱が生じていた。中国国内の種苗メーカーに生産を委託していた野菜の種を輸入できない。後藤さんは「国内での採種を増やす必要もあると思った」と振り返りながら、こう付け加えた。「できるかどうかは別の話ですが」

 愛知県北西部、岐阜県南西部の一帯では戦国時代から野菜の栽培、採種が活発だった。近年は採種農家が年々減り、種の生産の軸が海外に移った。現在、国内で流通する野菜の種の9割は海外産で、アサヒ農園でも生産・販売する種の9割を海外に外注している。今年、中国から種が届いたのは半年後、夏になってからだった。海外依存のリスクを痛感した。

 とはいえ、国内回帰も容易ではない…

この記事は有料記事です。

残り1358文字(全文1736文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集