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演出家 宮本亞門/2 少年時代、芝居に囲まれ

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幼い頃の宮本亞門=本人提供
幼い頃の宮本亞門=本人提供

 芝居好きは母親譲りだった。母は松竹歌劇団に所属していたが実家が生活に困窮したため、泣く泣く辞めざるを得なかったという。父と結婚し、喫茶店を始める時、東京・新橋演舞場の前という立地を決めたのも母だった。「母に抱かれてよく舞台を見ました。僕の耳元で『ね、すごいでしょ。あれがいいのよ』とささやく。まるで生のイヤホンガイドのようでした」

 直前まで出演していた俳優が舞台化粧のまま、浴衣を羽織ってコーヒーを飲みに来ることもあった。「うまくいかなかった」と悔やんだり落ち込んだりするさまを目の当たりにした。「一見華やかだけれど、裏は恐ろしくシビアな世界なんだなと子どもながらに感じた。でもどんなにつらくても、舞台ではにっこり笑ってお客さんを勇気づけているのがまたすばらしいなとも思いました」。まさしく芝居に囲まれた少年時代だった。

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