毎日新聞
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外国から称賛される日本製品の一つに温水洗浄便座がある。米国の医療機器に着想を得て東陶機器(現TOTO)が1980年、「ウォシュレット」の名で発売した。ハイテク便器の貢献は心地よさに限らない。「不浄」というトイレ観も塗り替えた▲「トイレは世界一幸せな部屋」と強調するのは、シンガポールの社会起業家、ジャック・シム氏だ。世界の人々が安心して使えるトイレの普及を訴え続け、ついには世界トイレ機関を発足させた▲創立日の11月19日は、後に国連の「世界トイレの日」になった。国連児童基金によれば、世界の20億人は安全で衛生的なトイレが自宅になく、うち7億人近くが屋外で排せつしている▲地面に穴を掘っただけのものなど、不衛生なトイレは感染症の原因にもなる。水の汚染による下痢症で毎日700人超の子どもが亡くなる現実を前に、住宅設備大手のLIXILは下水道のない地域にトイレを普及させる活動に取り組んでいる▲「安全な(Safe)トイレ」を意味する英語から「SATO」と名付けられた簡易式便器はプラスチック製で一つ2~5ドル。地面に掘った穴に差し込むように設置し、用を足した後に水を少し注ぐと、重さで底部のふたが開いて流れる仕組みだ▲単純だが、これで悪臭や虫も防げる。これまで38カ国で2100万人のトイレ環境を改善した。現地でのビジネスに育った国もあるという。日本発の技術が、ハイテクとローテクの両面から世界の人々を笑顔にしている。
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