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加速する脱エンジン 世界の流れ見誤らぬよう

 自動車産業で「脱エンジン」の動きが加速している。

 英国は2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁じる。従来の計画を5年前倒しし、温暖化対策を強化する。米カリフォルニア州は35年、フランスも40年に同様の措置を取る。

 欧州では、排ガス規制の強化に対応するため、電気自動車(EV)の販売が急増している。7~9月は乗用車販売の1割を占めた。

 日本はこうした潮流に追いついているだろうか。

 三菱自動車が09年に世界で初めてEVを量産するなど、技術では先行していた。しかし、国内市場でのEVの占有率はいまだ1%に満たない。対応を急ぐべきだ。

 国内ではハイブリッド車が普及し、割高で充電インフラも少なかったEVは主流から外れた。

 最大手のトヨタ自動車は水素を使う燃料電池車を次世代の本命と考え、それまではハイブリッド車を延命させる戦略に軸足を置いていた。急な方向転換で部品メーカーの経営に打撃を与えたくない事情もあった。

 しかしハイブリッド車は、走行時にガスを出さない「ゼロエミッション車」の普及までの過渡的な技術と位置づけられている。エンジンを使うため、エコカーとみなされなくなる可能性がある。

 EV専業の米テスラが株式時価総額でトヨタを抜いたのも、業界が大きな転換期に差し掛かったことの象徴といえよう。

 電動化が進めば、自動車の性能を左右する基幹部品は、エンジンから電池や半導体に変わる。

 充電1回当たりの航続距離を長くしたり、価格を下げたりする技術革新には、巨額の投資が必要だ。部品メーカーの業態変更や供給網の再構築も迫られよう。

 政府は温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標に向け、自動車のグリーン化を促す政策を強化すべきだ。エンジン車も対象としているエコカー減税の絞り込みは優先課題となろう。

 トヨタが複数車種でEVの販売を計画するなど、生き残りに向けた路線転換も進みつつある。

 日本の自動車産業は、ハイブリッド車でエコカー市場を開拓した成功体験に縛られず、戦略の立て直しを急がなければならない。

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