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地銀の再編に補助金 経済再生に結びつくのか

 政府・日銀が地銀や信金に再編を促すため、異例の補助金制度を相次いで打ち出した。

 日銀は、再編や大幅な経費削減に取り組む銀行や信金が日銀口座に預ける当座預金の金利を年0・1%上乗せする。全ての地銀・信金が対象になれば、上乗せ金利の総額は年間400億~500億円になるという。

 金融庁はシステム統合費用などの一部を補助する。来年の通常国会に関連法の改正案を提出する方針だ。補助額は1件当たり20億~30億円程度を想定している。

 金融機関への支援策では、公的資金による資本注入制度がすでにある。ただ、出資金は将来回収するのが前提だ。返済不要の補助金の導入は初めてとなる。

 人口減少や超低金利という逆風で地銀の経営は厳しい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って取引先企業の業績が悪化しており、貸し倒れ損失も膨らむ見通しだ。

 補助金まで繰り出して再編を促すのは、地銀の経営体力が一層弱体化し、コロナ下の地域経済を支えられなくなる事態を懸念するからだ。菅義偉首相も「地銀の数は多過ぎる」と明言しており、政府・日銀は対策強化を急いだ。

 だが、中央銀行が財政政策の範ちゅうである補助金制度に踏み込んだことには批判の声が出ている。日銀の国庫納付金は上乗せ金利分だけ減るが、国会審議も経ずに決められた。

 マイナス金利政策に事実上、例外を設ける措置にもかかわらず、金融政策決定会合に諮らなかったのも問題だ。黒田東彦総裁は「金融緩和に影響はない」と語るが、金融政策との関連や補助金の必要性は十分に説明されていない。

 再編が地銀の経営基盤強化の有力な手段であることは確かだ。ただ、補助金まで付けて「官製再編」を進めても、肝心の地域経済の再生に結びつく保証はない。

 公的支援と関係なく、他行と連携し、きめ細かい企業再生支援を進める地銀もある。県境を越えて取引先企業を紹介し合ったり、IT企業と組んで中小企業のデジタル化を支援したりしている。

 政府・日銀は再編の実績づくりを焦るのではなく、真の地域再生につながるかどうかを見極めた上で適切な対策を講じるべきだ。

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