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岡崎 武志・評『第九の波』『「線」の思考』ほか

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今週の新刊

◆『第九の波』チェ・ウンミ/著(書肆侃侃房/税別1900円)

「韓国女性文学シリーズ」の8冊目。若手文学賞を次々と受賞し注目されるチェ・ウンミ初の長編が『第九の波』(橋本智保訳)だ。

 かつて石灰鉱山で栄え、いまは原発誘致問題の賛成、反対で二分される海辺の街・陟州(チョクチュ)が舞台。ヒロインのソン・イナは保健所に勤務する薬剤師だが、18年前にセメント工場の次長をしていた父が謎の自殺を遂げ、一家で街を離れ、彼女は舞い戻ってきていた。

 そして今、1人の老人の死を契機に父の死を巡る過去(現市長は元セメント工場社長)、町の分断、カルト教団の洗脳など、一触即発の事態となる。物語はソン・イナを含む3人の男女を恋心も含め描くが、誰もが闇を抱えているという設定だ。2012年に韓国で起きた事件がモデルだというが、この閉塞(へいそく)感は日本の現在と通じる。

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