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社説

日中外相会談 ルール基盤に関係構築を

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 中国の王毅国務委員兼外相が来日し、菅義偉首相、茂木敏充外相と会談した。国内で新型コロナウイルスの流行が本格化した3月以降では初の中国要人の来日だ。

 外相会談では安定した日中関係の重要性を再確認した。コロナ禍や米中対立で激変した国際環境を踏まえ、国民の利益につながる関係を構築したい。

 会談は実務的な内容だった。ビジネス関係者の往来を月内に再開し、福島産など食品輸入規制の撤廃に向けた協議の枠組みを作ることで合意した。

 地球温暖化防止や来年の東京五輪と再来年の北京冬季五輪に向けた協力でも一致した。防衛当局者間のホットラインの年内開通を目指す方針も確認した。

 久しぶりの対話再開で日中双方とも良好な関係を演出したかったのだろう。中国側には米国のバイデン次期政権誕生を前に日本と関係を強化したい思惑もにじむ。

 一方で懸念材料もある。コロナ禍や尖閣諸島周辺での中国公船の活動、香港の民主派弾圧で国内の対中世論が冷え込んだことだ。

 非営利団体「言論NPO」などの調査では、中国の印象を「良くない」と答えた人が昨年より増え、9割近くに達した。

 ただ、中国批判一辺倒というわけでもない。日本の将来にとって日中経済協力が必要だと答えた人は6割を超える。

 米中のどちらにもつかず、世界の協力発展のために努力すべきだとの回答も過半数を占める。日本の立場を踏まえた冷静な判断だ。

 日中関係を安定させるには世論の支えが不可欠だ。海洋進出や人権問題で中国が自制することが世論の改善につながるだろう。

 領土をめぐる争いの解決は難しいが、摩擦を減らすことはできる。王氏は事態を複雑化させる行動を双方が避けるように求めた。率先して実行してもらいたい。

 協力分野を増やすことも有効だ。日中関係改善のためにルールに基づいた自由貿易体制の推進や多国間の国際協力を求める人は少なくない。ルールを順守することは価値観が異なる国同士が共存するための重要な条件だ。

 相互の信頼を高め、首脳級の対話を継続できる環境の醸成に結びつけていきたい。

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